青花雲龍紋棱花折沿大盤 景徳鎮窯 お問い合わせ sk. 097 元晩期~明初洪武 14世紀 口径 45.0cm 器高 8.0cm
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(商品説明文) 大盤は比較的に薄作りでその胎土の質は純良である。 筆㔟は画家(画工)の優れた運筆で迷いがなく早い。 また青料(呉須)は「回青」を用いており多少の鉄銹は混ざるが 鮮やかな濃紫の強い青料である。 波濤を描いた細線には特に点鎖が多く発生している。 大盤の裏面には他の元青花磁器には稀な独特なサイン(銘文)が 釉下の三ヶ所に記載されている。 通常の輸出品とは大きく異なる。 サイン(銘文)は無釉の高台内に釉を丸く敷いて青花で四節のパスパ文字(八思巴)を 記載し、また高台脇にはアラビア文字を囲んだ釉裏紅の「印形」が 青白釉の下から浮き出ている。 また棱(葵口)を刻んだ大盤の口沿裏には青花(青黒色、明、洪武の青花の色)を 用いた「点書」でアラビア(阿拉伯)文字が記載されている。 以上のような銘文(印形・アラビア文字)が記載された中国の古代磁器の例は、 トルコのトプカピサライ宮殿博物館蔵のコレクションやイランの アルデビルシュラインコレクション(テヘランのバスタン博物館)の中に見られる。 筆者の想像ではあるがこの大盤(皿)は中東地域の「廟」に献納するために 製作された「特殊な注文品」の一枚であろうと思う。 また「献磁」をした大盤の注文主はパスパ文字を使用する権力者に 属する立場の一人であったと思われる。 理由は高台脇の釉裏紅で描かれた印形の「献辞?」と 高台内の四節から成るパスパ文字にある。 また、この大盤は景徳鎮の官窯に相当する古窯で 製作された可能性もある(官器)。 あらためて雲龍図を観察すると、龍の頭や顔、口部に 例の少ない「鋭さ」を感じる。 龍泉窯にも仕様書に基ずいて製作された雲龍文の青磁の大盤がある。 これらの青花磁器は中国磁器を保有する事で権威の象徴と した時代の至宝である。 みごとな雲龍の図であり稀少な一品である。 (参考資料A) ① パスパ文字を高台内に記載した例。 ◌ 青花龍涛紋碗 明 正徳官窯 幅 22.3cm 1987年景徳鎮珠山 正徳地層出土 ② チベット文字をデザインした官窯磁器の例。 ◌ 五彩蓮池水禽紋鉢 明初 宣徳官窯 薩迦寺(チベット)伝来。 ③ 雲龍図、至正様式の同手の例。 ◌ 青花龍文壺(罐) 元時代 14世紀 器高 30cm 出光美術館蔵 回青使用、雲龍図、波涛、唐草文様が同手である。 出光美術館の唐草は牡丹唐草でありこの大盤の唐草は宝相華文様である また出光美術館の壺(罐)には大盤のような三件のサイン(銘)はない。 ④ 梵字を高足盤(コンポート形)の全面に青花、釉裏紅で記載した建文官窯磁器の例。 (梵字文化圏への献磁) ◌ 青花、釉裏紅梵字紋高足盤 明早期 建文官窯、 大明建文年製銘(青花) アジアの梵字文化圏へ献磁。 口径 20.5cm 器高 9.3cm 梵字90文字が高足盤を覆う。 青花(染付)は黒青色。 高台内釉下に大明建文年製の楷書が明記されている。 靖難の変(1402年)ののち建文年間(1399~1402)はのちの永楽帝により 洪武年に編入されたために建文官窯の磁器の資料は稀少(中国に数点のみ) この高足盤はアジアにあったため破壊されずに伝世した。 景徳鎮に官窯が初めて設置された年代がわかる。 元末明初の青花の色と釉裏紅の滲んだ暗赤色が時代を表現している。 「海のシルクロード」の海路を渡海したものであろう。 ※ 海のシルクロード蔵品 ⑤ 高台内部に釘でマークを三ヶ所刻んだ例 青花魚藻文盤 元時代 口径 46.1cm 出光美術館蔵 (参考資料B)
(参考資料)
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